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 ふと思ったのですが、もしかして「医療崩壊」と言ってもピンとこない人も多いのではないかと思いました。なぜそう思ったかと言いますと、この間横浜で福祉コーチングの講習会がありまて、そこでちらりと話してみたところ、「具体的にはどういうこと?」という質問があったからです。

 考えてみたら、病院にお世話にならなければ、なったとしても分からないかもしれないなと思ったので、今回は「医療崩壊が起きるとどうなるか?」を説明したいと思います。

 まず、何らかの症状が出てきたとしましょう。そうした場合、皆さんはどうします?
 近くに開業医や診療所があれば、そこを利用する人は多いと思います。ここが1次救急の施設です。開業医や診療所といわれるところは、大抵の場合入院施設や大がかりな医療器械を持ってはいません。CTとかMRIなんてないですよね。そこでの診察の結果、精密検査が必要と診断されました。すると、紹介状などを持たされて、病院に行くことになりますよね。

 開業医・診療所からの紹介状や、開業医・診療所の指示により病院に出かけると、診察と共に検査を受けることになります。その上で、必要とあれば入院治療や手術となるのが普通ですね。ここでいう病院は、大抵の場合2次救急の施設です。

 で、病院で診察や検査の結果、「ここでは治療が出来ないから専門の病院にいってください」とか、「ここへ行ってさらに詳しい検査を受けて下さい」などといわれて、大学病院やら、専門病院を紹介されることも、間々あります。ここでいう大学病院や専門病院が、3次救急の施設です。

 医療崩壊とは、2次救急・3次救急の病院が、そこに勤め、診療を行う勤務医が居なくなることで機能しなくなることをいいます。つまり、開業医・診療所での医療以上の、高度な医療が受けられなくなってしまうことをいうのです。

 では、医療崩壊間近な地域で病院に受診しようとするとどうなるか? ご説明しましょう。
 場所は、岐阜県大垣市にある大垣市民病院です。 http://www.omh.ogaki.gifu.jp/

 大垣市民病院は、岐阜県西濃地区では唯一の総合病院です。
 対象人口 約40万人  そのうちの大半は山間部に点在する町村の人々
 スタッフ  1200人 うち医師は120人
 ベット数  888床
 駐車場数 55カ所!
 救急救命センター(1?3次) 年間救急受診患者数は約48,000人(全国屈指の数!!)

 とにかくデカイ病院でして、岐阜県の中で一番大規模な病院じゃないかしらん。
 
 先月末、うちの利用者さんが検査のため、看護師とここに受診しました。
 病院の駐車場に着いたのが10時すぎ。駐車場に入れたのが11時半!
 最初の検査を受けたのが午後1時半。すべての検査が終わって診察終了が5時半過ぎ。
施設に戻り着いたのは、午後6時半でした。
 検査といっても、年2回の定期検査でして、昨年まではすべてが終わるのは午後1時だったのです……

 看護師曰く、
「あんなに患者が溢れかえっているのなんて、初めて見た!すごかったよぉ!!」
「3時間待ち3分診療なんて、目じゃないね。んとに……… 疲れたぁ…」

 1時に終わるはずのものが5時半までかかった…… 
 これの意味するところは、患者数が昨年よりドッと増えた ということです。つまり、地元の町
村に医者が少なくなったか、居なくなった ということです。市民病院に来るまで3時間かけてやって来る患者も居るくらいですからねぇ。

 ちょっと古いですが、大垣市民病院を見学した医者の卵のレポートです。
 http://www2.kpu-m.ac.jp/~students/hospital/002ogksm.htm


 「3時間待ち3分診療」とは、どういう状態を示すか、考えたことがありますか?
 よく病院への批判・悪口として使われるフレーズですけれど……

 病院というところは、病棟にいる入院患者さん達に対する診察や手術を午後に当てるところが多いのは、皆さんよくご存じだと思います。ということは、外来患者さんの診察を午前中に終わらせる必要があるって事ですよね。
 で、外来患者が医師一人あたり80人以上いたらどうなります?
 診察の順番を3時間待って、3分間も診療に当てて貰えたら上等だと思いませんか?

 患者側から見ての医療崩壊の初期は、このように一つの病院に集まってくる患者数がドッと増えて、外来だと待ち時間が大幅に増え、半日仕事が丸一日かかることも珍しくなくなるのです。そして、入院待機、手術待ちが出てきます。また、3次救急該当の高度医療も受けにくくなります。近隣の市町村に通院することも当たり前になってくるでしょう。

 医療崩壊の中期、受診できる病院が地域に1つあるかないかの状態。外来受診を予約制にするところも出てくるでしょう。そうでないところも外来の待ち時間がさらに一層長くなります。入院待機・手術待ちはさらに増えてきます。早期退院を言い渡される患者さんも増えてくるでしょう。夜間診療・夜間救急医療は医師不足によりあちこちで成り立たなくなります。
 つまり、夜間は受診が出来なくなります。
 患者のたらい回しは、頻繁に出てくると思われます。
 隣の県に通院することも当たり前になるでしょう。

 医療崩壊の後期。………自分の住む都道府県に、病院は1?2カ所程度になる頃。
 病院のが依頼に受診できる患者とは、紹介状を持ち、尚かつ予約出来た患者だけでしょう。検査も予約して順番待ちです。入院も・手術もひたすら待たなければならないでしょう。待っている間に症状が重くなる、それでもベットが空くまで、手術室が空くまで待たないといけなくなるでしょうね。 ……考えたくもありませんが。

 次回は、医者が治療をどういう過程を経て行っているのかを紹介しますです。
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【2006/09/24 15:26】 | 未分類 トラックバック(0) |


じゃりんこ知恵
 確かに医療崩壊の影は、あちこちにしのびよってますね。
 私、今もう一つ、仕事柄納得いかないことがあって。それは、リハの180日打ち切りについてです。半年で見込みが立たなければ、放りだす?。えげつない話しではありませんか。

はじめまして。
医療従事者。
地方の内科医です。
問題点を分かりやすく解説していただいており、
感銘したしました。

本当に医療崩壊は始まっています。
悪しき点もあったけど、曲がりなりにも人材派遣を支えて
きた医局制度をも猛烈にバッシングされたのが
きっかけだったと思います。医局解体のあとを
どう支えていくかのプランもないまま、今地方の大学は
火の車です。おまけに新研修医制度が始まりました。
医局制度が崩壊した今、制度が始まれば地方の医療から
医者が逃げるのは目に見えていました。
全く予想通りの結果です。
さらに拍車をかけたのが医療に検察・警察が介入して
きたことです。確かに一部に不良医師はいます。
しかし、今は良心的なまともな医療をしていても
結果が悪ければ罪人として罰せられるようなのです。
殺人者並みに。
医者はもともとお人よしと犠牲的精神を持つ人が
多いと思いますが、このような風潮で、医者の側の
意識も変わろうとしています。
私自身、第一は患者さんで、自分の生活は後回しでしたが
こんなご時世ではバカバカしいと思うようになりました。
悲しいですが、これが正直な現実です。

何なんだろうね?
ばあば
 じゃりんこ知恵さん、こんばんは。

>リハの180日打ち切りについてです。半年で見込みが立たなければ、放りだす?。えげつない話しではありませんか。
 
 ほんと。えげつない話です。一体政府は何考えているんだか…
 いや。政府は、何も考えてなどいないかもしれません。療養型病院についても政府はえげつないことをしています。いずれそれについても説明したいと思っています。



パニック映画の導入部分みたいです。
ばあば
 医療従事者。さん、お褒めいただき有り難うございます。

 この半年、私の関心事は医療崩壊についてです。なぜなら、まるでパニック映画の導入部分のように、表面ではつつがなくみんなが生活を送っている、その水面下でヒタヒタと足元が崩れていくそんな光景が見えているからです。

 そして、この問題を考えていると、崖から落ちた方が分かりが早いのかな? とも思ったり、それをうち消してみたりしています。で、同じ崖から落ちるにしても、予備知識があって落ちる方がマシだろうし、ひとりでも多く予備知識を持った方がいいだろうな、との思いもあってここをお借りしています。

 この問題は、患者側から突き詰めて見ると心情的に引き裂かれるものがあると、そしてそれを考えるのが、正直怖いですね。究極の覚悟を要求される、そんな気がしています。

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コメント
この記事へのコメント
 確かに医療崩壊の影は、あちこちにしのびよってますね。
 私、今もう一つ、仕事柄納得いかないことがあって。それは、リハの180日打ち切りについてです。半年で見込みが立たなければ、放りだす?。えげつない話しではありませんか。
2006/09/26(Tue) 07:42 | URL  | じゃりんこ知恵 #-[ 編集]
はじめまして。
地方の内科医です。
問題点を分かりやすく解説していただいており、
感銘したしました。

本当に医療崩壊は始まっています。
悪しき点もあったけど、曲がりなりにも人材派遣を支えて
きた医局制度をも猛烈にバッシングされたのが
きっかけだったと思います。医局解体のあとを
どう支えていくかのプランもないまま、今地方の大学は
火の車です。おまけに新研修医制度が始まりました。
医局制度が崩壊した今、制度が始まれば地方の医療から
医者が逃げるのは目に見えていました。
全く予想通りの結果です。
さらに拍車をかけたのが医療に検察・警察が介入して
きたことです。確かに一部に不良医師はいます。
しかし、今は良心的なまともな医療をしていても
結果が悪ければ罪人として罰せられるようなのです。
殺人者並みに。
医者はもともとお人よしと犠牲的精神を持つ人が
多いと思いますが、このような風潮で、医者の側の
意識も変わろうとしています。
私自身、第一は患者さんで、自分の生活は後回しでしたが
こんなご時世ではバカバカしいと思うようになりました。
悲しいですが、これが正直な現実です。
2006/09/26(Tue) 11:24 | URL  | 医療従事者。 #m9HPK/FU[ 編集]
何なんだろうね?
 じゃりんこ知恵さん、こんばんは。

>リハの180日打ち切りについてです。半年で見込みが立たなければ、放りだす?。えげつない話しではありませんか。
 
 ほんと。えげつない話です。一体政府は何考えているんだか…
 いや。政府は、何も考えてなどいないかもしれません。療養型病院についても政府はえげつないことをしています。いずれそれについても説明したいと思っています。

2006/09/27(Wed) 23:04 | URL  | ばあば #-[ 編集]
パニック映画の導入部分みたいです。
 医療従事者。さん、お褒めいただき有り難うございます。

 この半年、私の関心事は医療崩壊についてです。なぜなら、まるでパニック映画の導入部分のように、表面ではつつがなくみんなが生活を送っている、その水面下でヒタヒタと足元が崩れていくそんな光景が見えているからです。

 そして、この問題を考えていると、崖から落ちた方が分かりが早いのかな? とも思ったり、それをうち消してみたりしています。で、同じ崖から落ちるにしても、予備知識があって落ちる方がマシだろうし、ひとりでも多く予備知識を持った方がいいだろうな、との思いもあってここをお借りしています。

 この問題は、患者側から突き詰めて見ると心情的に引き裂かれるものがあると、そしてそれを考えるのが、正直怖いですね。究極の覚悟を要求される、そんな気がしています。
2006/09/27(Wed) 23:27 | URL  | ばあば #-[ 編集]
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